


4月は、新人ナースを迎える季節です。私たちがそうだったように、新しく入ってくる彼女たちもナースという仕事への期待に胸をふくらませながら、最初は慣れない仕事に戸惑ったり、ときには思わぬ失敗をしてしまったりすることも…。
そんな彼女たちをサポートし、適切なアドバイスをするのも私たち先輩ナースの仕事。ちょっと大変かもしれないけど、「自分も成長できるチャンス」とポジティブにとらえ、ワンランク上の“できるナース”にプチ ステップアップしましょう!

皆さんは「コーチング」って聞いたことありますか?“コーチ、私、ガンバリます!”というスポ根でおなじみの言葉なら聞いたことあるけれど…と思った人は、当たらずとも遠からずです。
この言葉はもともと 馬車=coach を指す言葉として生まれ、「大切な人を望むところに届ける」という意味があったそうです。それがスポーツの指導者という意味で使われるようになったのが1800年代の終わり。ボート競技の指導者をコーチと呼ぶようになり、次第にスポーツ全般に広がっていったそうです。(ここまで読んで「なんだ私たちナースに関係ないじゃない」と思っているアナタ。もう少しで本筋に入るのでもうちょっと待ってくださいね)1990年頃、このコーチを語源として相手の自発的な行動を促すコミュニケーション技術として「コーチング」がアメリカのビジネス界で大流行しました。IBM などの巨大企業がこぞってこの考え方を採用し、業績をあげたそうです。
さらに欧米の医療現場では、ナースがこの「コーチング」のコミュニケーション技術を活用し、リハビリや患者さんの治療意欲向上で成果を挙げています。


「コーチング」とはどんなモノなのでしょうか。ナースの仕事をしていて、あなたの同僚や後輩、患者さんがなかなか自分の思うように行動してくれないと感じたコトはありませんか?そんなとき、もしあなたが「コーチング」というコミュニケーション技術を身につけていたら、周りの人たちの持っているチカラを発揮させてあげられるかもしれません。
目標を達成したり、障害を打開するための答えや能力は、実はその当事者が持っている場合が多いもの。「コーチング」は「質問」や「提案」「承認」などの手法で、相手の考えや力、意欲などを引き出し、良い結果に導いてくれます。
例えば、ここに脳梗塞の後遺症で片足の動かなくなった主婦のAさんがいるとします。Aさんはリハビリを受けますが、それがなかなかうまくいかなくて落ち込んでしまいます。そんなとき、無理に励ましたりリハビリを強要するのではなく、例えば「家事で何が好きなんですか?」と聞いてみましょう。Aさんが「お料理かしら」と言ったら、「それをリハビリの目標にしてはどうでしょう」と提案してみてください。そしてまた落ち込むことがあれば今度は「なぜお料理が好きなのですか」ともう一度聞いてみてください。Aさんが「子供や主人の喜ぶ顔が好きで…」と答えたとしたら、今度は「じゃあ、もう一度キッチンに立ってAさんのお料理でご主人とお子さんを喜ばせる…というのを目標にしませんか」と提案してみる。Aさんが自分にとって大切なのは「家族の喜ぶ顔」だと気づくことで、リハビリへの意欲が自然とわいてくるかもしれません。
このようにコーチングを身につけていれば、より相手の心の深いレベルまで聞くことができ、治療やリハビリへの意欲を引き出すことができます。
これが後輩ナースであれば仕事への意欲や達成感を引き出し、自ら行動するナースへ導くことができるかもしれません。上手に使えばきっと「コーチング」は、あなたにとってキャリアアップや自己成長の強力な武器となることでしょう。

「コーチング」の技術や歴史をわかりやすく紹介してくれる「ナースのオフタイム」イチオシ本。概念的に「コーチング」を解説するだけでなく、「患者さんに対する場合は?」「上司と部下の関係の場合?」など、具体的なケース別・相手のタイプ別の「コーチング」活用法を紹介しています。また、たくさんのイラストやケーススタディを交えて解説してくれるので、役立つこと請け合いです。Lesson形式で最後には要点をまとめてあるところもGOOD!



